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【資金力格付表のすすめ】「流動比率」が高いから、うちの会社は安全という勘違い④

【資金力格付表のすすめ】「流動比率」が高いから、うちの会社は安全という勘違い④

こんにちは。古田土会計・代表社員の古田圡満です。

本コラムでは、中小企業の社長の皆さまが勘違いしやすい事例をまとめた書籍『熱血会計士が教える 会社を潰す社長の財務!勘違い』から、ポイントをかいつまんで解説していきます。

今回のテーマは、前々回、前回に引き続き「『流動比率』が高いから、うちの会社は安全という勘違い」です。

前回までは主に資金別貸借対照表を話題にしてきましたが、今回はそれに加えて「資金力格付表」とそれを応用した「社長の成績表」中小企業版を紹介します。どちらも会社の財務を把握し、改善策を打つのに有用なツールなので、経営者の方はぜひ参考にしてください。

▽動画でも解説しています

会社にとって最高の資金の状態とは?

前回は、「NEW資金別貸借対照表」の活用の仕方について説明しました。そこで説明したように、銀行が経営の指標としている流動比率が高かったとしても、会社に資金がなければ経営はおかしくなってしまいます。そして会社の儲けた利益がどこに流れているのかを把握できるのが、資金別貸借対照表です。

資金別貸借対照表では、お金の調達と運用のことが表現されています。

図1:資金別貸借対照表の見本

現預金 資金運用 資金調達
146.0 損益資金の部
XXX XXX
XXX 固定資金の部
XXX 170.0
XXX 売上仕入資金の部
XXX 129.0
XXX 流動資金の部
XXX 1.7

※説明の便宜のために簡略化(単位:百万円)

これを見ていただくと、損益資金が1億4,600万円です。これは会社の儲けに相当します。

次にその儲けたお金がどこに使われたのかを示すのは、第一に固定資金の部における運用の1億7,000万円。あとは売上仕入資金の部における売上債権(受取手形・売掛金)の1億2,900万円と流動資金の部の左側にある170万円です。この3つが「使っているお金」を示します。

つまりその3つのお金を、儲けに相当する損益資金で賄えていたならば、借金をする必要はありません。その状態で借金するとしたら、預金が欲しいからということになります。

以上より、会社にとって最高の状態とは、資金の運用をすべて損益資金で賄っている状態です。損益資金の金額が、固定資金・売上仕入資金・流動資金の運用を上回れば、大変な優良企業だといえます。そのうえで十分な預金があれば、安全性はさらに高まります。

古田土式「資金力格付表」の概要

繰り返しになりますが、いくら流動比率が高かったとしても会社に資金がなければ経営はおかしくなってしまいます。そのことを証明するのが「資金力格付表」です。

以下では「資金力格付表」について説明します。古田土式「資金力格付表」には、冒頭に次の文言を載せています。

「現預金があるだけでは真の資金力ではない。資金面で大事なことは、『どのような調達手段で資金を賄い手元に残しているか』である。」

資金力の指標はありません。「資金力格付表」においても、資金の調達手段や金額から資金力を間接的に推測するにとどまります。

ちなみに古田土式「資金力格付表」は、佐藤幸利先生が開発した資金別貸借対照表の応用版です。佐藤幸利先生が作ったものを我々が改良し、資金力に関する6つのレベル分けを行いました。以下ではレベル6〜レベル1まで、それぞれ解説します。

◯レベル6:現金預金だけで運用をすべて賄える超々優良企業

先ほどの資金別貸借表には、固定資金の運用に1億7,000万円、売上資金の運用に1億2,900万円、そして流動資金の運用に170万円が記載されていました。要するにこの会社は、3億円ほど資金を使っているということです。

この使った3億円をすべて損益資金で賄えるのが、レベル6に相当します。すべての資金の運用を過去からの利益の蓄積だけで賄えている最良企業です。

ところが、実際の損益資金は1億4,600万円だったので、1億5,470万円足りません。よって、例の会社はレベル6ではありません。

◯レベル5:資本金を足せば資金を賄える超優良企業

次に資本金を足したらどうなるかを考えます。もし資本金を足して資金の運用が賄えるなら、その会社はレベル5に相当する優良企業です。

しかし、実際のところ、例の会社の資本金は2,000万円でした。そのため、1億5,470万円のマイナスが1億3,470万円になっただけで、まだ到底足りません。

よってこの会社はレベル5にも達していないわけです。

◯レベル4:売上仕入資金の買掛金で賄える優良企業

次にレベル4は、売上仕入資金の買掛金を考慮すると、資金の運用をすべて賄える会社です。こうした会社は比較的優良な企業だといえるでしょう。

例の会社の場合、買掛金は4,200万円。これを加味してもまだ9,270万円不足するので、レベル4にも達していません。

◯レベル3:長期借入金で資金を賄う普通企業

今度は固定資金の長期借入金で資金を賄えるかどうか考えます。長期借入金で資金を賄える状態であれば、その会社は普通企業、レベル3です。

例の会社の場合、長期借入金で8,310万円を調達していますが、残っている不足は9,900万円なので、まだ足りません。長期借入金を調達しても960万円足りないので、この会社は普通企業にも該当しないことになります。長期借入金でも固定資金の運用をすべて賄えていません。

なお、レベル3の普通企業に関しては、減価償却費と損益資金で長期借入金が返済できれば健全ということもいえます。

◯レベル2:短期借入金がないと資金を賄えない危険企業

例の会社は短期借入金を9,000万円調達することで、はじめて資金が8,040万円のプラスになります。このように短期借入金なしでは資金を賄えないのが、レベル2の危険企業です。

レベル2は、現預金よりも短期借入金が多い状態なので、銀行の対応によっては資金がすぐにショートしてしまいます。

◯レベル1:短期借入金でも資金を賄えない倒産企業

レベル1は、未払金や未払費用、預り金など、流動資金の中の短期借入金以外のものも含めてはじめて資金がプラスになる状態です。ここまで来ればもう倒産企業で、経営は非常に危ういといえます。

このようにどの時点で資金がプラスになるかでレベルを判定していくのが資金力格付表であり、判定されたレベルこそが資金力です。

資金力格付表の活用方法について

資金力格付表を見ると、資金力を上げるための対策が打てます。つまりレベルをどうやって上げるかを考えるわけです。詳しくは以下をご覧ください。

◯資金力をレベル2からレベル3に上げる方法

上記で見た通り、例の会社の資金力はレベル2です。長期借入金を加味しても1,000万円ほどの不足が出ました。

言い換えれば、あと1,000万円をプラスすれば、レベル3になれるということです。1,000万円をプラスするには、例えば、以下のような方法が考えられます。

・損益資金を1,000万円プラスする
・固定資金の運用を1,000万円低くする
・売上仕入資金の運用を1,000万円少なくする
・買掛金を1,000万円増やす

また短期借入金を長期借入金に持っていくことによっても、レベル3は実現できます。1,000万円ないしは2,000万円、場合によっては短期借入金9,000万円すべてを組み替えても良いでしょう。

こうした対策を打てば、レベル3の普通企業になれます。資金力格付表では、きちんとランク付けがされているので、このようにランクを上げるためにどうすれば良いかという対策が打てるのです。

・さらに改善してレベル4に到達するには

次にレベル4にするためには、9,000万円以上の不足をどうにかしなければいけません。これは短期を長期に振り替えても無駄です。長期借入金に頼る時点で、レベル3止まり、レベル4にはなれません。

長期借入金に頼らず9,000万円以上を捻出するには、損益資金や固定資金の運用をそれだけ増やすことが必要で、これには時間がかかります。それだけレベル4に到達するのは大変です。

よって、まずはレベル3を目指し、その次のステップとしてレベル4を狙うと良いでしょう。対策を考える際は、B/Sの勘定科目や損益資金について、いろいろとアイデアを出していきます。

資金力格付表は、この対策のアイデア出しをするのに有用なツールです。

「社長の成績表」中小企業版について

我々は資金力格付表を応用し、「社長の成績表」中小企業版というツールを生み出しました。これは古田土会計のオリジナル商品です。

中小企業経営者は、勘に頼った経営ではなく、数字をもとに財務を意識した経営が必要不可欠だといえます。しかし「どのような財務体質の会社が良い会社か?」と聞かれた時に今までそのような指標は存在しませんでした。

そこで38年間にわたって約3,000社の経営を財務から見てきた我々が、中小企業における財務体質のレベルがわかる経営指標を開発しました。それが「社長の成績表」中小企業版です。

このツールを活用し、自社のどこが良くてどこが悪いのか、数字から見た「打つ手」を見つけ、手を打ちましょう。

我々中小企業にとって大事なことは、現場で使えることです。銀行さんが出しているように数が多すぎてもだめ、帝国データバンクのように文章が長ったらしくて、何がポイントかわからないのもいけません。それだと中小企業は現場で使えないからです。

数をある程度少なくて、誰でも理解できるツールが必要だ。そう考えて作ったのが「社長の成績表」中小企業版です。このツールでは、以下6つの観点でそれぞれ0〜5の点数をつけ、平均得点を出して企業をS・A・B・C・Dに分類します。

1. 収益性・生産性
2. 効率性
3. 安全性
4. 持続性
5. キャッシュ・フロー
6. 資金力

ここからはそれぞれの観点について簡潔に解説していくので参考にしてください。

1. 収益性・生産性:損益分岐点比率

一番上にあるのは収益性と生産性です。収益性というと多くの人は「売上高経常利益率」といいますが、ここでは参考になりません。なぜなら売上高経常利益率は、業種・業態ごとの粗利益率の違いによって、大きく異なってくるからです。

我々会計事務所は原価がないので、粗利益率100%ですが、卸売業・小売業・商社企業などは、売上高の売上総利益率は10%もありません。それでは10%しかない会社が売上高経常利益10%になるか、なるわけありません。売上経常利益率はせいぜい1〜2%程度です。

以上より、売上高経常利益率は業種・業態の枠を超えた汎用的な指標ではないことがわかります。

・重要なのは「損益分岐点比率」

すべての業種が参考にできる指標がないかと考えたときに、該当するのが「損益分岐点比率」です。損益分岐点というのは、売上高から変動率を引いた付加価値、いわゆる粗利と固定費の関係を示します。

・粗利から固定費を引くのは経常利益
・固定費を粗利で割ったのは損益分岐点比率
・粗利を固定費で割ったのが生産性
・粗利益を人件費で割ったのが労働生産性

このように損益分岐点比率の考え方が理解できれば、労働生産性まで出せるのです。そのため、私たちは損益分岐点比率で収益性・生産性を格付けしてみました。

2. 効率性:総資本経常利益率(ROA)

次に効率性を考えました。効率性というのは、我々はいかに総資産を少なくしてより多くの利益を上げるという観点の指標です。我々中小企業は、総資産をそれほど多く持てないので、効率性も大きな意味を持ちます。

効率性を判定するのは、総資本経常利益、いわゆるROAで、これも5段階で格付けしてみました。満点(5点)は、総資本経常利益10%以上です。

3. 安全性:自己資本比率

安全性は自己資本比率で、こちらでも格付けを行いました。60%以上自己資本比率があれば満点の超優良企業です。

50%以上は優良企業、まずはここを目指しましょう。そして30%以上が普通企業で、最低でもこのレベルまで自己資本比率を高めなければいけません。自己資本比率が30%に満たないというのは、財務体質がまだまだ弱いという証明です。

・効率性と自己資本比率は比例関係にある

自己資本比率は、総資本に対する自己資本なので、効率性を上げるために総資本を少なくすれば自己資本比率も上がります。利益が増えなくても総資本さえ少なくなれば良いのです。

効率性と自己資本比率は、このような比例関係にあります。

4. 持続性(企業体力指数):ROA×自己資本比率

効率性と自己資本比率が上記のように関わることを踏まえ、4番目の項目では両者を掛け合わせて企業体力指数を算出します。

企業の体力はP/Lではありません。体力はB/Sなのです。B/Sに利益が付きます。

売上高や経常利益の成長率などは体力に関係ありません。体力はあくまでB/Sです。そしてB/Sの中には当期純利益も含まれます。

だからこそ効率性と安全性を掛けたものを、我々は企業体力指数として出します。企業体力指数は600点以上が満点です。

このように数字を出すことによって、自分の会社が立っている位置がはっきりわかります。自分の力がどれくらいなのかがいろいろな指数によって客観的に見えてくる、これが大事なのです。

なお、「5. キャッシュ・フロー」以降の続きは次回解説します。

まとめ:「資金力格付表」や「社長の成績表」で会社をレベルアップ

今回紹介した「資金力格付表」やその応用版である「社長の成績表」中小企業版は、どちらも会社の財務の良し悪しを判断し、対策のアイデアを見つけるのに役立ちます。レベルを上げれば、資金の実態も改善するので、現場で使いやすい有用なツールだといえるでしょう。

最後まで記事を読んでいただいた皆さんには、お礼として「社長の成績表」を無料でプレゼントさせていただきます。

ぜひ、有効活用していただければ幸いです。

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